2学期を迎えるにあたって(2学期始業式「校長訓話」より)
2週間足らずの短い夏休みを終えいよいよ2学期が始まります。通常であれば2学期は体育大会の準備・練習から始まるのですが、新型コロナウイルス感染拡大を受け体育大会は中止。特に生徒会行事で常にリーダーシップの発揮を期待される高3生が、文化祭や体育大会等最高学年としてリーダーシップを発揮する機会を奪われたことは、まことに残念なことです。しかし、どうにもならないことをいつまでも悔やんでいても前には進めません。「男の人生はやせ我慢の積み重ねである」つらいことも苦しいこともすべて受け止めて前へ進む。そのような生きる姿勢を示すことこそ、男子校たる中村学園三陽中学高等学校の真骨頂でしょう。体育大会は中止としましたが、それに代わるスポーツ大会(クラスマッチ)が、今月26日・27日の2日間にわたって開催されます。新型コロナウイルスの感染防止を十分に考慮し、体育大会とはまた趣の異なるスポーツの祭典となるよう生徒会を中心にみんなで盛り上げて記憶に残るスポーツ大会となることを期待しています。
スポーツ大会が終わると高3生は目の前に迫ってきた進路を決定するために全力を尽くさなければなりません。これもまたつらく苦しい戦いとなるかもしれませんが、ひるむことなく自分の実力を最大限に発揮できるよう努力して下さい。努力をしても目標を達成できないこともあるかもしれません。しかし、努力をすることで皆さんは確実に成長し向上します。大切なことは決してあきらめないこと。三陽綱領に示す「挑戦・努力・忍耐」を心に留めて日々の学習に取り組んで下さい。高3生が進路を決定するために努力する姿を後輩諸君もしっかりと目に焼き付けてほしいと思います。一人一人がしっかり自分の目標とする進路を見据えて、今何をすべきかを考えれば、自ずと学校生活や学習活動において自分の行動が変わります。1学期から言っているように三陽はこれから「自主的に学ぶ学校」に生まれ変わります。1学期の成績を見て皆さんはどのように感じているのでしょうか。アクティブラーニング・ルーブリック評価という新しい学習スタイルを導入し、考査だけでなく日頃の授業や課題等の学習活動が成績に大きく影響することを考えれば、「あとでやる」という後ろ向きの勉強ではなく、常に「今やる」しかも「すぐにやる・必ずやる・できるまでやる」という主体的・積極的な勉強が大切であることは十分理解できるはずです。2学期もこの学習スタイルは変わりません。先生方も1学期の授業内容を改善してさらにアクティブな授業を展開してくださると思います。まだ「あとでやる」という習慣から逃れられない人は、早く「すぐにやる・必ずやる・できるまでやる」という習慣を身に付けられるよう努力をして下さい。
さて、長くなりますが2学期の始業式にあたり三陽生としてこの2学期に心得てもらいたい「三陽スピリッツ」伝えたいと思います。それは「本気・根気・元気!三陽生は“気”をつかえ」というスピリッツです。「“気”をつかえ」というと「先生方や先輩に忖度することか」と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。
“気”とは、皆さんの生きるエネルギーです。地球には、肉体や物質などの様に見えるものと,精神や気体など目に見えないものが一緒に存在しています。そして、形はなくても感覚で形成される「存在」を東洋では“気”と呼び、まさしく我々の生きるエネルギーを表しているのです。気には陰と陽の両面があります。気が重い・気を病む・気に掛ける・気が乗らない等のマイナスのイメージを表す言葉があるかと思えば、気が晴れる・気に入る・気が楽になる・気が利く等のプラスのイメージを表す言葉もあり、“気”が陰と陽の両面をあわせ持った存在であることは容易に想像できると思います。様々な“気”すなわち“エネルギー”の中でも、三陽生に必要不可欠な気!それが“本気”と“根気”と“元気”です。
「本気」とはまじめで真剣・誠実な気持ちを表します。本気とは本物の“気”すなわち本来の“エネルギー”を表すのです。ですから、皆さんの心の奥に内在するエネルギーを最大限に発揮するためには、本気で物事にあたらなければなりません。本気とは単なる“言葉”ではなく“行動”を表します。本気とは“明日”ではなく“今”始めることを意味します。本気とは単に“始める”だけでなく“やり抜く”気概を示します。本気とは“独りよがり”ではなく相手を動かす“思いやり”を表します。本気とは“何かを得る”のではなく“何かを捨てる”覚悟を持つことなのです。本気でやれば何でも楽しい!本気でやればつかれない!本気でやればつかれても、つかれがさわやかです!うそだと思うのなら本気で物事に取り組んでごらんなさい。必ず本気のすばらしさに気付きます。そのすばらしさに気付かないのは本気でない証拠です。
2つ目の“気”である「根気」とは物事を飽きずに長くやり続ける気力を表します。根気とは心に根をはった“気”すなわちこれも“エネルギー”です。“気”が心に根をはっていますから、少々のことでは動じない!根気はこの世の中で万能なエネルギーだと言えるでしょう。才能があっても思い通りの人生を送れない人はたくさんいます。学問だって決して万能とは言えません。すばらしい学歴だけでは幸福な人生にはつながらないことは誰もが承知しているはずです。しかし、才能や学問が根気という心に根をおろしエネルギーとして発揮されると、人間は想像を絶するパワーを発揮するのです。「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす」という言葉を残した剣豪宮本武蔵は、千日、万日の鍛錬や稽古を続けることで剣豪として名を残し、最後には悟りの境地に達します。彼を悟りの境地に導いたものは、他でもない根気という心に根をはったエネルギーだったのです。何事も三日坊主で終わるようでは失格。三年やってはじめてやったと言えるでしょう。そして、十年やって一人前になる。さらに、達人の域に達するには、血のにじむような努力を続けて何十年という歳月が必要になってきます。もちろん、素質や才能も必要です。しかし、それ以上に必要なのが根気なのです。勉強でもスポーツでも何かを自分のものにするには、根気強く継続することが重要です。根気があるから成功するのではありません。成功するまで続けることが根気なのです。かの有名なフランス皇帝ナポレオンも「勝利は最も根気のあるものにもたらされる」と語っています。
最後の“気”「元気」とは、心身の活動の源動力です。“気”すなわち“エネルギー”の元になるから“元気”なのです。単に健康であるという意味の元気では意味がありません。元気とは気持ちが前向きで心が健全な状態、そして、何よりも周囲に良い影響を与え続けられる状態を言います。元気な人は勉強やスポーツ等あらゆることに前向きで、それらを自ら楽しんでいます。そして、その楽しさが周囲の人々に伝染していくのです。元気は必ず前向きな言葉となって表れます。どんな時でも元気なエネルギーを言葉として発するよう努力しましょう。言葉が変われば心も変わります。心が変われば態度が変わります。態度が変われば行動が変わります。行動が変われば習慣が変わります。習慣が変われば人格が変わります。人格が変われば運命が変わります。運命が変われば人生が変わるのです。元気から生じる前向きな言葉は皆さんの人生をも支配していることを知るべきです。元気は皆さんの姿勢や態度にも表れます。背筋が曲がり下を向いて生活している人の多くが、負のエネルギーを発しています。どんなに苦しい状況にあっても自分の姿勢や態度を正し、常にプラスのエネルギーを発することができるよう努めて下さい。今皆さんが机に座っている姿に意識を集中してみて下さい。皆さんは今プラスのエネルギーを発していますか、それともマイナスのエネルギーを発していますか?元気は必ず前向き・積極的な考え方を生み出しそれが行動へとつながっていきます。元気に裏付けられた行動は周囲の人を巻き込んで、自ずとモラルの高い精鋭な集団へと変化していくのです。「本気・根気・元気!」という“気”を三陽生が積極的に活用し、常に向上を目指すモラルの高い精鋭集団に生まれ変わることを期待します。
何度も繰り返しますが“気”は“エネルギー”です。このエネルギーは皆さんの心の持ちようで無限に発揮されるものです。このエネルギーを決して出し惜しみしてはいけません。“気”は使えば使うほどさらにパワーアップし、皆さんの身体に蓄積されます。そして皆さんが発した“気”の量に応じて、人生の深みが増していくのです。
人生をプラスに転ずるために「本気・根気・元気!三陽生は“気”をつかえ」という言葉を意識して、2学期の学校生活を有意義なものとしていきましょう。
1学期終業式・今回の2学期始業式では放送で実施することになり表彰式も行っておりませんが、一つだけ本校の地道な活動が高く評価された表彰を紹介いたします。本校は「福岡市環境行動賞」という福岡市の環境保全・創造に顕著な貢献のあった活動の表彰で「最優秀賞」を受賞しました。本校の生徒会・保健委員の生徒が中心となって地域の子供たちや保護者を対象とした環境授業や割りばし・紙パックの回収等の環境活動が、福岡市の環境保全・創造に顕著な貢献のあった活動として認められたものでs。受賞の内容には「中高一貫で全校をあげて環境活動をおこなっていることが学校の文化として根付いている」と評価されています。最近ゴミの分別は「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」のほかに新聞・冊子・プリント類などの「古紙」が加わり、皆さんも戸惑っているかもしれませんが、ゴミの分別も本校が評価を受けた環境活動のひとつです。これからも一人一人がゴミの分別に気を配り、他の模範となるように行動してもらいたいと思います。
最後に、新型コロナウイルス感染拡大は続いています。これまでのようマスクの着用・手指の消毒・手洗いの励行・ソーシャルディスタンスの保持等、私たちにできる予防策はすべて実施して、皆さんの努力で「感染しない・感染させない」生活環境を整えられるように細心の注意を払って学校生活に臨んで下さい。