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「信は力なり」
山口良治
(伏見工業高等学校ラグビー部元監督)
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元ラグビー日本代表フランカーの山口良治氏は、1975年京都市立伏見工業高等学校ラグビー部の監督に就任し、全国的に無名だったチームを育てあげ、高校ラグビー日本一へと導いたことで知られています。その熱い指導は、当時「スクール・ウォーズ」という人気テレビドラマの主人公のモデルとなったほどです。その伏見工業高校ラグビー部に代々受け継がれている言葉が、本日の三陽スピリッツ「信は力なり」です。
山口氏がラグビー日本代表として活躍されていた1971年に、全イングランドとの試合がありました。イングランドはラグビーの発祥の地であり、全イングランドは当時日本が一度も勝ったことのない強豪チームだったのです。フォワードの平均体重は、一人当たり13キログラムも劣り、両チームがスクラムを組んだ際の体重差は、実に104キログラムにもなります。大人と子供ほどの違いがありました。ただ唯一、日本がイングランドに勝っていたことは「勝つことへの執念」だったと山口氏は語っています。
山口氏によると、全イングランドとの試合前のロッカー・ルームでは、チームの15人、だれ1人として口をきくことはなかったようです。むせるような吐息と鼻を覆いたくなるようなサロメチール(筋肉鎮痛消炎薬)の匂いが充満する部屋の中、既に泣いている者や極度の緊張感に耐えきれずひたすら自分の頭を壁に打ちつける男もいました。しかし、大きい相手に勝つための基本を徹底的に叩き込まれた当時の全日本の選手たちは一枚岩となり、言葉を交わさなくてもお互いの気持ちがわかるほど信頼しあっていたそうです。そして、最後まで「信は力なり」という言葉を信じてプレーしたとおっしゃっています。
結果は両チームともトライできない壮絶なゲームの末、”6対3” で残念ながら敗れてしまいましたが、全日本の結束力が世界中に報道され、いまだに伝説的なゲームとして語り継がれています。信じることが勝利にはつながらなかったものの、信じることがとてつもない結果をもたらした試合だったと言えるでしょう。
昨日、日本で開催されているラグビーワールドカップで、日本は世界ランキング第2位のアイルランドと戦い、“19対12” で勝利を収めることができました。“奇跡の勝利”とも報道されていますが、勝利にいたるまでに並々ならぬ努力があったことはまちがいありません。試合後、ラグビー日本代表キャプテン リーチ・マイケル氏が語った “世界屈指の強豪を相手に勝った要因” に、「信は力なり」のスピリッツが込められていたことが印象的でした。
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信じることが一番大切!
やってきたこともハードにやってきたし、
ハードにやってきたことを信じ切れたことが、
一番の(勝利の)要因だと思います。
ラグビー日本代表キャプテン
リーチ・マイケル
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